Sさんち(栃木市)No.0131
君島建築

築90年のリノベハウス 見学可能.png

おうちデータ

  • Sさんち(栃木市)
  • 築年数…90年
好きなインテリアは?

2人とも、古道具や古家具が大好きです。主人は大学卒業後にこの街に戻ってきて、そう思うようになったようです。私は主人が大好きなPadparadschaというセレクトショップに一緒に行くようになって、それからかな。主人はより渋いモノが好きで、わたしはよりかわいさがあるものが好き。でも、「いいね!」って思うものは一緒かもしれないですね。

好きな雑貨屋さん・家具屋さん

Padparadscha(宇都宮市)、6th Ave. storehouse(宇都宮市)、スケールスアパートメント(栃木市)、ヒト匙+(栃木市)、MORO Craft(栃木市)、Antiques(益子町)

参考にした雑誌

住む。、VINTAGE HOME

家を持つきっかけは?

まだ結婚する前、付き合っていた時に一緒に住むアパートを探していたんです。ちょっと味のある賃貸物件がいいな、と思って「栃木のひとクセある物件を紹介」してくれる不動産屋さんにお願いしたら、市内の物件をいくつか見たあとに「せっかくだからこんな物件もありますよ」と連れて来てくれたのが、この元歯科医院の建物だったんですよ。そうしたら主人がこの建物にほれ込んでしまって(笑)アパートを探しに行ったはずだったのに、家を買うことになりました。

購入を考え始めたのは誰?

というわけで(笑)、主人です。

なぜ、その施工会社に決めたのか?

お願いした施工会社は、建築士の方が紹介してくださったんです。この建物は権利関係などいろいろ難しいことが多くて、ローンが下りるかどうかが難しいところだったのですが、社長さんが「出来るかどうかわかんねーけど、やってみっか!」と力強く言ってくださったのが決め手でしょうか。とても親身になってくださって、たくさん手助けしていただいたおかげでローンも下りることになり、無事リノベーションも行うことが出来ました!

お気に入りの場所は?

主人は、朝起きて、天気がいい日にダイニングテーブルの窓際に座ってコーヒーを飲みながらボーっとするのが好きだなんですよ。この家には縁側や、ソファや、ボーっとするのにいい場所がたくさんあるんです!私のお気に入りは、キッチンに立った時に見える家の中の景色ですね。ああ、かっこいい!ってしみじみ思うんですよ。

もう1度家を建てるならどんな家にしますか?

新築で(笑)、平屋で、縁側や薪ストーブのある家に憧れます。広くなくていいので、のんびりできるところ。今の家は便利な反面車通りが多いので、もう少し静かな森の中がいいな。主人は「老後、おじいちゃんになったら普通の和風の平屋がいいかも」なんて言っていますが、ほんとかなあ…?

これから家を建てる人へのメッセージは?

いろいろな雑誌を見たり、オープンハウスに行ったりと、知識がとても増えた一年でした。なかなか時間をとるのは難しいかもしれないけれど、面倒くさがらずに知ろうとすることですね。知らないとできないこともたくさんあります。楽しみながら作れば、きっと素敵な家になりますよ。

ウチミセレポート

建具は建築士さんと一緒に

古道具屋さんに建築士さんにも一緒に来ていただいて、建具を選びました。おかげさまで選んだ建具はどれもその場所にぴったりマッチして、素敵な仕上がりになりました!ドアノブや金具なども、お気に入りのモノをつけてもらっています。

引き戸がドアになっていたり、サイズ違いの戸の周りに木を足してつけられるようにしたりと、どれも古い味わいを活かした個性的な扉ですね!サイズ違いでもつけられるようになるなんて知りませんでした。古い建具の選択肢が広がりますね。


照明はLEDを入れました

照明は仁平家具店やAntiquesさんなどで探して、この建物の雰囲気に合うモノをつけていただきました。まとめてやっておけばあとが楽だと思って全部LEDにしたのですが、金額の高さにびっくり!でもこれで当分気にしなくてよいと思えば、高い買い物ではないですね。

このレトロな雰囲気の建物と、その雰囲気に合わせた灯りがどれも存在感があってとても素敵です。一度LEDをつけてしまえば電気代も安いし長持ちするはずなので、ぜひやっておくといいですね。


ご飯が炊けるコンロが秀逸

このコンロ、なんとご飯を炊くモードがあるんですよ!お鍋にお米とお水を入れて、お米モードで火をつければ火加減もやってくれるスグレモノ。このコンロのおかげで炊飯器が要らなくなって、炊飯器を置く予定だったところが空きました。何を置こうか考え中です。

ごはんモードのあるコンロなんてあるんですね!これさえあれば、いつでも土鍋や専用鍋で炊いた美味しいお米が食べられるなんてうらやましい…。このコンロはグリルもついていて、専用のダッチオーブンもあるそうですよ。料理のバリエーションが広がりますね!



失敗ポイント

お風呂場がちょっと暗いかも

お風呂場の窓の外に板で目隠しを作っていただいたのですが、全面を囲ってあるので昼間はちょっと暗いかな。でも、夜入るときは逆に明るく感じるし、窓を開けると木の香りが入ってくるんですよ。

板を縦に前後から貼りつける、大和塀といわれる板塀、風情がありますね。前後の板の間に隙間があるので風通しが確保できるのですが、縦板の隙間が確かにちょっと狭いのかもしれません。でも、この塀のおかげで安心してお風呂に入れますね!


キッチンというより厨房に!

最初、キッチンの壁はステンレスで設計されていたのですが、そうしたらなんだかお店の厨房みたいになっちゃって大変!キッチンのイメージからかけ離れてしまったため、慌ててモルタルに変えてもらいました。でも、迅速に対応してもらえて良かったです。

この建物の雰囲気の中に厨房が出現したら、ビックリですよね!変えていただけて良かったですね。モルタルは油はねなどの汚れを吸収してシミになってしまうので、使う時は油跳ねガードを立てて使っているそうですよ。


コストダウンポイント

自分たちで塗りました

この漆喰、ほとんど自分たちで塗ったんです!最初はトイレとお風呂場で練習して、そのあと順に書斎、玄関、リビングと塗っていきました。どうにも終わらなくて、結婚休暇も全部この漆喰塗りにつぎ込んだ感じです。外装の木の部分にウッドロングエコ、という塗装材を塗ったり、リビングと廊下の柿渋を塗るのも全部自分たちでやったんですよ。

こんなに広い面積を自分たちだけでやったなんて、すごい!脱帽です。リビングはもう、プロ級の腕前ですね。でも、一番最初に塗ったトイレのちょっとガタガタしているところも味があって素敵♪廊下の壁は漆喰塗りワークショップを行って、参加者の方たちに塗っていただいたそうですよ。


2階は必要なところだけ

2階は今回、特に何もしませんでした。襖や障子の張り替えと、畳み換え、そして建具の調整を行っただけ。もうちょっと予算があれば、隙間風が寒いので2階の窓も直したかったけど、今回はぐっとガマン。

2階は本当に味のあるスペースで、襖や雪見障子が祖母の家を彷彿とさせます。この襖は昔ながらの本ふすま。引き手も今はなかなかできない細工だそうですので、ぜひ大切に使ってください。いつか窓を直すときも、できるだけ今の雰囲気を残してもらえるといいですね。


こだわりポイント

こだわりのマイナスねじ

主人がとてもこだわっていたのが、このリビングのスイッチパネル。漆喰の感じに合うスイッチパネルがなかなかなくて、建築士さんに塗装して作っていただいたんですよ。そして一番のこだわりは、このマイナスねじ!建築士さんがいろいろな現場で拾い集めていたものを、これまた塗装してつけていただきました。

そのこだわり、分かります!やっぱりこの時代の建物には、マイナスねじですよね!日本製のマイナスねじはもう生産されておらず、解体現場などで見つけるしか手に入れる方法はないそうです。建築士さんが足で集めたマイナスねじ、使わせていただけて良かったですね。


大工さん泣かせの床

リビング側の床は、パイン材を組み合わせてタイルのように張ったつくり。建築士さんに提案していただいたものなんですよ。提案の際、現場で私たちに分かるように実際に並べて説明してくださったのですが、それを横で聞いている大工さんたちから『大変なことになったぞ』というオーラを感じました…。この床は大工さんの手間がとてもかかるそうで、頑張ってくれた大工さんたち、本当にありがとうございます。

懐かしい!高校の校舎の教室の床、組み木の床だった記憶があります。そんなに手間がかかるものとは…。でもだからこそ、この建物にしっくりくる素敵な床が出来上がりましたね!リビングダイニングからバストイレに向かう廊下は同じパイン材で、小学校の廊下をイメージしているそう。並べ方が変わるだけで印象ががらりと変わりますね。


白物家電が見えないように

キッチンは造作で作っていただきました。最初のデザインはアイランドキッチン+壁収納だったのですが、冷蔵庫の存在感を消したくて、壁収納予定の場所の半分を冷蔵庫置き場にしてもらったらとてもすっきりしたキッチンになりました!白物家電がうまく隠れるように、作っていただいています。

リビング・ダイニングと一体化してしまうほどに違和感のないキッチンは、そのように計算されて作られているからこそなんですね。加えて極力プラスチック製品を使わず、木や金物の道具、琺瑯のバットや木箱を使って統一感を出しつつ使いやすいように整えているところも見事です。


風の抜けを意識

ダイニングにある大きな窓の正面には、勝手口と廊下へ抜けるドア。廊下の先には足元に小さな窓がついていて、風がリビングダイニングから廊下の先へと抜けるように作っていただきました。

元歯科医院の大きな窓から吹き抜ける風はきっと気持ちがいいでしょうね!風がカーテンを揺らす様が目に見えるようです。取材に伺った日はストーブをつけるほどの気温だったのですが、ファンヒーター1つでも「意外と暖かいね」というくらい、しっかり断熱施工もされています。


Uchimise Photo 


レポート後記

カリカナリホ 「あ、あれだ!」と見つけたのは、昭和初期に造られた古い和洋折衷の家。もともと歯医者だったという建物は、おもりの仕込まれた上げ下げ窓や翡翠色の木製の手すりが懐かしいですね。いたるところに『当時の面影を出来る限り残し、使える材料は使いまわしてかつ住みやすく』という気概が感じられるのは、この建物にほれ込んだオーナーのお二人をはじめ、この時代の建物の良さを知っている人たちの手にかかったからこそ。このお二人に見つけてもらえて本当に良かった。ぜひ、おばあちゃんの家に行く気分で遊びに行きたいですね。

レポーター:カリカナリホ

こちらのお宅は、 見学可能.png です

案件番号 No.0131 Sさんち(栃木市)
「築90年のリノベハウス」