Mさん家(宇都宮市)No.0043

回遊性を楽しむドームのような家

おうちデータ

  • Mさん家(宇都宮市)
  • 築年数・・・5年
  • 延床面積・・・58坪
好きなインテリアは?

アンティークと言うと高価なイメージですが、使い込まれた古いもの、天然素材の風合いが感じられるものが好きです。木やアイアンの組み合わせなども良いですよね。
好きな雑貨屋さん・家具屋さん:アレッダ、オールドフレンド、仁平古家具店、古物店など
参考にした雑誌:外構に関しては、自分で出来るガーデニング等を参考にしました。家造りに関しては、特に雑誌などは見ず、おしゃれなカフェなどを巡ってヒントを得ました。

家を持つきっかけは?

結婚当初から考えていました。金利が上がるとか、減税額も少なくなるなんてニュースも出ていた頃なので…。主人の年齢からしても、ローンを組める年数も限られてくるので、早いうちに建てたいと思いました。

購入を考え始めたのは誰?

最初は私ですね。主人の会社は家賃補助も無いので、アパート代もかかります。同じような境遇のお友達が住宅購入に向けて動き出す姿を目の当たりにすると、「我が家も早く家を建てたい」という思いが益々強くなりました。

なぜ、この施工会社に決めましたか?

私はハウスメーカーを考えていたんですが、「展示場へ見に行こう」と誘っても主人からはあまり良い返事はかえって来なかったんです。そんな時、主人から「知り合いの設計士さんが居るんだけど…」という話が有り。主人は、「変わった建物を建てる人だな~」と以前から設計士さんの事は知っていたようです。設計士さんの作品に惚れ込み、「この人に建ててもらえないんじゃ、家なんて建てなくても良い」という程の思いを告げられました(笑)。彼の熱い思いに動かされたというか…。私も自然とその方にお任せしたいなという気持ちになりました。

お気に入りの場所は?

どこかと言われればリビングですかね…。ソファーや椅子に腰かけて、キッチンのハンギングを眺めるのが好きです。と横でご主人が「いや、やっぱりこの構造体そのものでしょう。どこからの眺めも最高ですよ」うなずく奥様。ご夫婦揃って、「この家そのものが一番のお気に入りです」

もう一度家を建てるなら、どんな家にしますか?

我が家にとても愛着が有るので、なかなか思い浮かびませんが…。しいて言えば、回遊性を備えた平屋のお家ですかね。中庭に面して建物を配置した、ロの字とかコの字とかの。それから、新興住宅地では無く、もっとのんびりゆったりしたところに家を建てたいですね。家庭菜園ももっと楽しみたいですし、お隣の視線が感じないような…のどかな所が良いですね。

これから家を建てる方へのメッセージを

色んな事例を沢山見ちゃうと、あれもこれも取り入れたいという思いが強くなり、結局ゴチャゴチャした家になってしまうんだと思うんですよね。家に求めている一番のコンセプトが明確になると、必要なものって限られますよ。まずは、そこをしっかり持って欲しいですね。 それから、自ら動き、探し出し、作る努力も必要です。自分達の家ですから、限られた予算の中でより良い物を作りたいじゃないですか。その為の努力は惜しんじゃ駄目ですよ。手を入れた分、愛着が湧きますし、思い入れも強くなります。家造りって建てて終わりなんじゃなく、ずっと続けていくものなんだと私達は思っています。

ウチミセレポート

平屋の様な巨大空間

2階のフロアーは、一体化した3階も含めぐるっと一回りできるよう回遊性を持たせました。平屋の様な大空間は、動線が確立されているため、人の動きがスムーズです。どこに居ても家族の気配を感じる事が出来るので、安心して過ごす事が出来ます。

ロフトのような開放感ある3階スペースも含んだ大空間は、まさに大きなワンフロアーという言葉がぴったり。しかし扉を閉める事で、個人の居室スペースも確保出来るそうです。お子様のお友達が集まると、家中を縦横無尽に駆け回り賑やかに過ごされるそう。「帰りたくない」という子供達の声を聞くと、嬉しさが込み上げてくるんだそうです。


ちょっとびっくり、でも安心?

トイレ、洗面所の扉を横格子のスリットにしたので、内側から外の様子が確認できます。勿論、外側からは見えませんが…。子供が小さいので、気配を感じる事が出来て便利です。

慣れないと、「外側から丸見えなのでは…」と心配になる程、スリットからの視界は良好。初めての来客の方々はびっくりするそうですが(笑)


凄いヒラメキ☆

トイレの扉を両開き出来るようにしました。工事中に業者さんに「片側を固定しても良いですか」と言われた時にひらめいたんです。両方開いた方が掃除がしやすいな~って。どうしても便器の裏側って埃がたまりやすいし…。普段は、鍵で固定しているので間違って開ける事もありません。

凄いヒラメキ!! 確かに奥の掃除は手も届きにくく、埃も残りがち。ちょっとした工夫でお掃除の手間も省けます。正にきれい好きな奥様だからこそのアイディアですね。


光に満ち溢れたリビング空間

リビングを2階にしたことで、日差しも沢山入り一日中明るく過ごせます。設計時に、光や風の流れを緻密に計算した事もあり、常に快適な空間が保てています。これは、必ず行った方が良いと思いますよ。

一年中通して光が降り注ぎ、自然と調和した空間を手に入れたM邸。自然をも味方につけた、最強の家なんですね。



失敗ポイント

本当は欲しかったなぁ~

玄関にシューズクロークが有れば良かったですね。今は階段下収納を上手く使っていますが…。子供も大きくなると靴の数も増えますし、スノーボード等の道具類も一緒にしまえておけるような大きなものがあれば便利でしたね。

設計士さんにお任せしたからこそ、実現した全面ガラス張りのお洒落な玄関。この空間を保つための努力は本当に大変なんですね。


照明選びの難しさ

クローゼット周辺の灯が暗く、その場での洋服選びが難しいんです。色味とかが分かり辛く、結局寝室などに持ち込んでチェックするんですが。収納という考えであったので、そこまで深く考えなかったんですよね。

寝室に繋がる通路両面にたっぷり取られた収納スペース。将来的には建具を入れる予定なので、溝も切ってあるそうです。照明もお洒落で可愛らしい感じにまとまっています。使用用途も様々な事が考えられるので、照明選びも難しいんですね。


窓の位置には要注意

2階トイレには大きな窓を設けたのですが、お隣から丸見えな状態になってしまいました。ガラスに目隠し用のシートを貼り、カーテンを取りつけて対応しています。明るくて良いんですが、本当は、お隣からどんな感じに見えるのか確認したいぐらいです。

トイレ側面に設けられた大きな窓。そのおかげでとても明るい空間が出来ていました。あまりに開放的な空間なので、お隣さんはトイレだと思ってないかも…。


やっぱり近くが良かったなぁ

お風呂などの水廻りが1階なので、子供が小さいうちは目が離せないので大変ですね。やっぱりリビング近くに有ったら良かったな~と思います。

小さい子供がいると、確かにリビング近くに水廻りがあると助かりますよね。しかし、毎日上り下りする階段は、老後の事も考えた上での安心設計になっているそうです。


コストダウンポイント

こだわりがコストダウンに繋がるなんて…

リビングの床材は、赤松の無垢材を使いました。この床材、実はB級品という物なんです。節も多く抜けも有りますが、私達の好みのものだったので迷わず使用しました。敷き詰めた感じは、まさにイメージにぴったり。自分達に合った物が、安く仕入れられてラッキー♪でしたね。

無垢の床材と言っても、色々な種類が有るんですね。自分の好みの物が、コストダウンにもなるなんて最高ですね。


薪ストーブは憧れですね♪

薪ストーブは、設計段階から計画してたんですが、実際に設置したのは入居から2年経ってからでした。じっくり検討し、自分達に合ったものを選ぶ事が出来たので費用も抑えられました。メンテナンスもし易い事がお気に入りです。ストーブの壁面のタイルは、玄関に敷き詰めたものと同じものを使って自分達で作りました。今ではすっかり我が家の顔となっています。

取材時にも、赤々と燃える炎が迎えてくれました。ものにこだわるご夫婦だからこそ、じっくり吟味されお気に入りの物を手に入れられたんですね。お友達が集まった時は、ピザを焼いたりして楽しんでいるそうです。ストーブと一緒に揃えたホーローのカップが、キッチンのハンギングにセットされていました。ストーブ上部の棚に置いておくと、丁度良い保温状態を保たれるのだそう…。お友達との楽しいおしゃべりに夢中になっても大丈夫ですね(笑)


目からウロコの…

駐車スペースは、コンクリートではなくアスファルトにしました。道路との境界には、自分達で文字入りのレンガを敷き詰めました。少しでも雰囲気を出したいと思いまして。

実は言われるまではアスファルトだと気がつかなかった程。こういった工夫もコストダウンに繋がるのですね。参考になりました。


こだわりポイント

我が家が一番

この家そのものですね。構造体むき出しの見た事のない一大空間。ドーム建築とでもいうのかな~。設計士さんも楽しみだと言っていた、初めての作品だったようです。実は、最初は心配で地震保険にも加入しました。でも、あの震災時も全く損傷は有りませんでした。近所では一番大きく揺れていたらしいんですが…。今では、大工さん達も構造の勉強に訪れる程。自慢の我が家です。

階段を上り2階フロアーに入った瞬間に、目に飛び込んでくる大空間。初めて見る形状に、しばし圧倒されました。この構造体の魅力を最大限に生かした設計により、沢山の日差しが降り注ぐ、快適な空間がそこには存在しました。施工された大工さん達も、震災時には心配で駆けつけたそうです。しかし、結果的には構造体の素晴らしさを再確認し帰られたそうですよ。


譲れないものは作っちゃえ

家の家具や洗面台などの造作物は、自分達で作りました。デザインが気に入っても、素材本来が本物でないとダメなんですよね。夫婦揃って同じ考えなので、「それなら作ってしまおうって(笑)」 お互いの家族を巻き込み、あらゆるものを作りました。どれも全て愛着が有り、気に入っています。こだわりがコストダウンにも沢山繋がりましたし。時間が建つに連れて、益々味が増しますしね。大変でしたが、本当にやって良かったな~と思っています。お友達にも評判で、自分達で作ったと言うと驚かれますよ。

玄関アプローチ、玄関タイル敷き、洗面台、ダイニングテーブル、テレビ台等、挙げればきりがない程の造作物が沢山有りました。全てがまさか手作り!?という驚きの完成度。自分達に合うものが無いのなら作ってしまおうという発想は、やはりそれなりの技量が無いと難しいですよね。自分達の家をより良いものにしたいという思いは、誰もが共通のものですよね。「努力を惜しんではいけない」というご主人の言葉が胸に刺さりました。


家そのものが生きています

自然なものが好きなので、床は無垢材、壁は珪藻土にしました。外壁は漆喰です。構造体にも、地元の木材を自然乾燥させたものを使っています。木が生きているので、勿論反りや割れも出てきます。でも、家が家族と共に生きているんだということが実感できるんですよね。そういった事も含めて、一緒に成長しているんだと感じられる家になっています。

設計士さんのこだわりも大きかったようで、現場の足場でさえにも合板などは持ち込ませなかったそうです。家族と共に年をとって行く家。本当に素敵ですね。


離れの和室

和室は必ず欲しいと思いました。ここまで凄いものになるとは思いませんでしたが…。障子などの紙の貼り方にもこだわりました。雪見障子は、妻の実家で不要になった物を譲り受け使用しています。和紙の種類を変えて貼りつける事で、柔らかな雰囲気を出す事が出来ました。

基本的にはゲスト用に使用している和室。総ガラス張りの玄関ホールを挟んで、母屋と分離して設置されている佇まいは、高級旅館の離れの様なしつらえです。こだわりの建具が、一層特別な雰囲気を醸し出していました。


Uchimise Photo 


レポート後記

miyu 「木のぬくもりと光に満ち溢れ、常に進化をとげていく家」まさにそんな言葉がぴったりなお宅でした。「家は世代をかけて作りあげていくもの」という設計士さんの言葉通り、家族の成長と共に家も成長をとげていく、そんな過程を感じる事が出来るお宅でした。決められた予算で家を仕上げるために、ご夫婦で行った作業の多さにはびっくりしましたが、その仕上がりの素晴らしさには目を見張るものがありました。設計士さんも、この才能が分かっていたからこそ提案したのだろうと思いました。次回訪問した時には、何が変わっているのだろうとワクワクしてしまう、そんな気持ちが溢れてくる素敵なお宅でした。

レポーター:miyu