OMさん家(宇都宮市)No.0065
君島建築
風と光と影を演出する家
おうちデータ
- OMさん家(宇都宮市)
- 築年数・・・4ヶ月
- 建坪面積・・・30.24坪
- 好きなインテリアは?
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家も興味がなくてインテリアもまだまだどれがいいのか定まらない時期もありました。インテリアというよりは光と影と空気感にはこだわります。また「余白感」をたいせつにしています。物も持ちたくないので、どこまでシンプルに暮らせるかなとは考えています。
好きな雑貨屋さん・家具屋さん Tamiser kuroiso, SCALES APARTMENT,SHOZO
参考にした雑誌 「住む」 をよく読んでいます。家を建てるための本ではなくライフスタイル本が好きです。
- 家を持つきっかけは?
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一般的な小学校入学を目標にはしました。まさに入学式目前というまさにバタバタな結末になり、大忙しな引っ越しと入学式でした。土地が決まって1年がかり、場所にも土地にもこだわれて良かったです。
- 購入を考え始めたのは誰?
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家って高価な買い物ですよね。ですから怖くて私は全く買う気がありませんでした。好みが変わっても暮らす勇気がありませんでした。主人は早く自分のガレージが欲しかったのでそろそろいいんじゃない?といつも話してました。
- なぜ、この施工会社に決めましたか?
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スタートはあこがれの設計士さんに設計をお願いするところからでした。1年間ヒアリングしていただき、誰に建ててもらおうかと考えました。今までの施工を見せていただき設計士さんと「ここに頼もう!!」と決めました。
- お気に入りの場所は?
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子供たちはリビングの窓辺のベンチです。お友達が遊びに来た時もソファーよりベンチに腰掛ける方が多いですね。パパはお風呂とガレージです。1Fはコンクリート打ちっぱなしが続くのでその雰囲気も好きです。私はグランドピアノを弾くのでピアノのある風景とその場所の光と影と窓のバランスが大好きです。
- もう一度家を建てるなら、どんな家にしますか?
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とくに今の家が大満足なのでないですが、色調だけもう少し暗い家もいいかなと思います。
- これから家を建てる方へのメッセージを
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家を建てる気がなくても、理解してくれる設計士さんと工務店さんに出会えたのでこんなに素敵な家ができました。打ち合わせが楽しくて、いつも現場がきれい、素人のお願いも嫌な顔一つしない。一生のパートナーに出会えました。
建具は全て引き戸に
すべて引き戸にしました。玄関ドア・玄関網戸を引くことでその先のガラスの窓からの雰囲気を壊さず眺められ、右に引き戸が収納できるのです。そんな些細なことが日常では丁寧に暮らせる動きを作るのではないでしょうか?
全てが我が家の暮らしサイズ
造作・・です。階段の手すりの収まる場所やリビングの壁面収納までも「暮らしサイズ」で造作してもらえました。手すりやスイッチでさえも、壁から出っ張らなように凹ませたところに配置したかったのです。パーツのセンスも最高に好みで、毎回打ち合わせが楽しみでした。
《あゆみ編集長》ここまで細部にまでこだわって施工してくれる工務店さんにはなかなか出会えません。打ち合わせを重ねたからこそなのでしょうね。この仕上がり、羨ましいほどです。
余白の美
好みのものを妥協しないで少し持つ。余白が大好きなので4人家族でも物がすごく少ないのです。それでも母には多すぎると片付けられてしまいますが、余白の空間があることで暮らしにストレスが減る気がします。持ちすぎると好みではないものも存在してしまうので。
《あゆみ編集長》「余白を残したい」という奥様の感覚を十分理解していたからこそ生まれたこの空間。工務店さんのヒアリング力の賜物だと思います。
研ぎ澄まされた浴室
お風呂の雰囲気は主人のこだわりです。タイルは目地の掃除が大変なんて考えないで、好きなものを長く使おうと考えれば、掃除も苦になりません。掃除は好きではないですが、後で大変なのが嫌なので毎日行います。
《あゆみ編集長》快適・便利を前面に出したユニットバスが絶対的に主流の中、こうした在来工法の浴室づくりに付き合ってくれる工務店さんは貴重。我が家も在来工法ですがお掃除に自信がなかったので、もっと大きなタイルです。奥様のマメなお掃除に脱帽です!
余白のないところ…
余白好きの私としては洗濯機の後ろと冷蔵庫の脇に余白スペースが取れなかったのです。そこが最大の失敗です。ホコリをきれいに取るにはどうしたらいいのか、毎日奮闘しています。
《あゆみ編集長》お掃除の面でもそうですが、やはり今後の家族増加や洗濯機や冷蔵庫といった家電の進化によるサイズ変更は予測が難しいので、ゆとりある設計がのぞましいですね。
漆喰壁はもろい…
家の中の仕切り壁にも漆喰を塗りました。けれどぶつかると意外にもろいですね。監督がまめに来てくれるのですぐには直りますが。
《あゆみ編集長》漆喰の良さは多々ありますが、几帳面な人ほど気になってしまうところはあるのかも…。コテ跡を生かしたラフな塗り方をした時などは、たった1mm程度の凸部分にホコリがたまったりするものです。その辺りもよく知ってから選ぶと良いですね。
遮光ロールスクリーンにしよう…
家本体ではないのですが寝るときは真っ暗が好きなので、1階寝室のカーテンは遮光性にしようと思います。暮らしてみないと分からないものはゆっくり選んだほうがいいですね。
《あゆみ編集長》こちらの奥様と工務店さんのコンビなら、真っ暗にするための造作の工夫が出来たはず!住んでみないとわからないことってやはりあるものですね…。惜しい!
ベランダはカット!
ベランダを作るのをやめました。お布団を干すのが大好きなのですがベランダの制作費って意外に高いので、1階も2階も物干しポールを設置しただけで終了。見た目もシンプルでコストも抑えることができました。
《あゆみ編集長》ポールだけという割り切りは潔くて良いと思います。ベランダって掃除も大変だし、あると泥棒も入りやすいんですよね。そういった面からしても、大正解なのでは。
キッチンはシンプルに造作
キッチンて全くそそられる要素がなく、既製品はどーんとキッチンが主張し苦手でした。そんな私にぽつんと家具のようなキッチンの写真を紹介いただき、造作の家具のように家になじむ物を作っていただきました。
《あゆみ編集長》造作キッチンは、収納部分も自由自在。こちらのキッチンは引き出しや扉がない分、大きくコストダウンできると思います。シンプルな方がカゴなどでアレンジできて、収納の仕方、使い方も幅が広がりますよ!
家は小さく。広さは感じるように。
建坪を小さくしました。2階リビングにしたけれど、家族でいる場所を眺めの良い場所にしたことと、窓のサイズにこだわったので狭さは感じません。窓の外から眺める景色も我が家と思えばいいんじゃないかなと思います。
《あゆみ編集長》家が小さいことは最大のコストダウンですよね!でも、リビングの横長の窓から得る広がり感は格別。まったく小さな家とは感じませんでした。
床も家具も景色も・・
床の張り方です。材質はオークのナラ材です。同じ方向で敷かれた床材は単調で味が生まれないような気がしました。家具も色調や材質を合わせたいので作ってもらいました。おかげで高さや見える景色まで考えて作ることができました。
《あゆみ編集長》初めて見た「朝鮮張り」というフローリングの張り方。ほかがシンプルだからこそ、この張り方が映えるのだなと思いました。オークは高級感や落ち着いた雰囲気があって、こちらのお宅の雰囲気にぴったりでしたね。
静謐な空気感を
少しうす暗い教会のようなひんやりした空気が好きなので、窓の位置や光の入り方には計算をしていただきました。クロス(十字)が好きなのでドアにも模様で入れていただきました。
《あゆみ編集長》リビングの一角にあるグランドピアノのスペースは、そこだけリビングの中でも窓のない空間でした。家を建てるとき、大抵の人は明るさや開放感ばかりを求めがちですが、人って案外暗くて狭いところが落ち着いたりするもの。明るいところと暗いところのバランスがよいお宅だなと思いました。
浴室・洗面室からデッキへの空間
1Fの洗面所からデッキで洗濯物を干す場所を設置しました。お風呂からもデッキに行けるため、主人はビールを飲んだりしています。外壁と色をそろえたので、コンクリートの色と外壁のモルタルの色がシックに合いすごくお気に入りの空間になりました。
《あゆみ編集長》これは私も熱く推したいこだわりポイント!「脱ぐ・洗う・干す・取り込む・たたむ・しまう。」がコンパクトなエリアで片付くのが理想的だと考えます。毎日のことですから、ぜひ参考にしてくださいね!
つや消しな質感にこだわって
レンジフードを見てもらうとわかりますが、どんな造作物も「消しゴム」と「豆腐」みたいな感じにこだわりました。レンジフードは砂消しっぽくて大好きです。
《あゆみ編集長》大きなところではシンプルなカタチや質感にこだわり、植物や食器といった小物でナチュラル感をプラスした奥様のセンスに感動。バランスがよいですね。
Uchimise Photo
1歩入ると陰影のかもし出す独特な空気感に酔いしれるお宅です。特に変わったものや派手さはないのですが、既製品がない空間が最高の演出です。窓の留め金一つもこだわりのパーツで構成され、暮らし方の理解がここまで伝わるとは正直驚きです。お話をしていて最後に気が付いたのが、「色気のある家」だということです。実に味のある家でした。
レポーター:レポーター:SMD
OMさん宅におじゃまして、なによりもいちばん思ったことは、「こんなにやりたいことを理解してくれる工務店さんに出会えてうらやましい!!」ということでした。余白とか、暮らしサイズとか、豆腐や消しゴムみたいな質感とか。ちょっと伝わりにくいニュアンスや奥様のスッキリシンプルに暮らしたいという気持ちをここまでくみ取って、実際におうちに反映できる…こちらの工務店さんのヒアリング力と施工の技術力の高さを感じました。完成後もちょっとしたことでも頼れる工務店さんとしてお付き合いが続いている様子。お施主さんと工務店さんの理想の関係がここまで洗練された空間を生み出したのだ思いました。
レポーター:峰川あゆみ
《あゆみ編集長》引き戸はスペース効率が良くて、シンプルに暮らせるから私もオススメです。クロスを生かしたデザインがステキですね!