りんちゃんちNo.0148
伴工務店

しずかしろのいえ(栃木市) 見学可能.png

おうちデータ

  • りんちゃんち(栃木市)
  • 築年数…1年4ヵ月
  • 延床面積…29.5 坪
好きなインテリアは? 

マイホームには薪ストーブ・無垢の床・漆喰の壁を!とずっと決めていました。フォトグラファーという職業柄、色々な作家さんの家に取材に行く機会があるのですが、素敵なおうちでよく薪ストーブを見かけ、憧れを抱くようになっていました。とても理にかなった暖房器具ですしね。無垢の床と漆喰の壁は、家族全員肌が強くないほうだというのもあり、体にやさしい素材を使った家にしたいという想いがありましたね。

好きな雑貨屋さん・家具屋さん

mother tool・MOROcraft・SCALES APARTMENT・LIFE FURNITURE

参考にした雑誌

住まいの設計・チルチンびと

家を持つきっかけは?

娘が生まれてから、東京では保育園の問題などがあり、暮らしづらさを感じていました。そんなときに仕事で金沢に取材に行き、奥さんの実家の近くに暮らして仕事も家庭も充実している人にたくさん出会ったんです。妻の実家の栃木市は東京からもそう遠くなかったので、東京での仕事もしつつ、栃木に住むという可能性もあるのかなと妻に相談すると大喜び。土地もあるということで、自然と自分たちの家を持つことを考えるようになりましたね。

購入を考え始めたのは誰?

夫婦どちらともですね。東京で家を持つことも考え少し探してみましたが、この値段でこんなプラモデルみたいな家か…と思うようなものしか見つからず、諦めていたんです。栃木に土地があるとなったらそれは自分たちが望むような家を建てたい、と自然と思いましたね。しばらく妻の実家に同居させてもらっていましたが、僕の立場上、友人も気兼ねなく呼べるという意味でも僕の方が積極的だったかもしれませんね(笑)。

なぜ、その施工会社に決めたのか?

自分たちの思うような家を建てたいという想いがあり、工務店で建てることは決めていました。そんなときに書籍用の写真を撮影させていただいた方に「私がもし次家を建てるなら絶対ここで建てたい」と工務店さんを紹介してもらいました。タイミングよく完成見学会があったので行ってみると、本当に素晴らしい家で、工務店の方が全く営業してこないのも、作ったものに自信があるのだと好ましく、ここしかない、と2社目で決めました。

お気に入りの場所は?

(ご主人)土間リビングにある窓から見える景色は、季節の移ろいを感じられてとても気に入っています。
(奥様)リビングの勾配天井を眺めていると、うちっていいなぁと思えるんですよね。この杉板、大工さんが一生懸命、ひとりで苦労して貼っていたなぁと思うと胸がいっぱいになりますね。

もう1度家を建てるならどんな家にしますか?

家としては、今の家以上に望むことはないですね。あえて言うなら…もう一度何の制約もなく家を建てられるなら、高台の眺めがいい土地とか大きな公園の近くに建てられたらいいな。

これから家を建てる人へのメッセージは?

何と言っても自分たちが建てたい家を建てられる建築会社を見つけることが大切ではないでしょうか。こちらの想いが伝わるかどうか、話が通じるかどうか、が重要なのだと思います。

ウチミセレポート

薪ストーブは生活の中心

最初、私がどうしても新居には入れたいと言い始めたのですが、いざ暮らし始めると、妻のほうがハマってしまって、私はもっぱら薪集め係、妻が薪をくべる係ですね。朝、起きて最初に薪ストーブのところに来て薪をくべるのが一日の始まり。この役目は2人で取りあいです(笑)。一年前から薪の準備をしたり手間はかかりますが、早く冬がくればいいのに、と思うほど薪ストーブのある暮らしはいいですね。

薪の調達も人の繋がりとして楽しんだり、朝「まだ火が残ってたね」とついついペットのように話しかけたり…などのエピソードから、薪ストーブの存在が暮らしを豊かにしている様子が伝わってきました。


周遊できるパントリーはすっきりキッチンの要

キッチンの奥にパントリースペースを作ってもらい、そこには冷蔵庫やレンジの他、プリント類など妻の書斎のようなスペースもあります。パントリーから洗面室を抜けてぐるっと、ダイニングに出て来られる周遊型になっているので、料理をしながらのいろんな家事に便利ですね。ダイニングテーブル横の作業台の階段側に収納している大皿も楽に取りに行けます。ただ…周遊型は、娘との追っかけっこがエンドレスになってしまいますね(笑)

ダイニングテーブルのすぐ横にキッチンがあると、生活感が丸見えになってしまいがちですが、別空間でも行き来しやすいパントリーがあると片づけに神経質になりすぎなくても、キッチンがすっきり使えてとてもよいですね!


洗面室→クローゼット→寝室の動線は便利!

寝室から、クローゼットを通り抜けて洗面脱衣室につながる設計になっています。この動線だと、お風呂上りに着るパジャマや下着も、朝着替える服も同じクローゼットに仕舞っておけるので、とても便利です。洗面室とクローゼットの間の引き戸に、姿見をつけられない?とお願いしてつけてもらいました。ギリギリのタイミングで色々なことをお願いしてきたなぁと思います。

この動線は、洗濯物をしまうことを考えても、着ることを考えても、最高に便利ですね!下着やパジャマは脱衣室に置かれるお宅が多いですが、この設計ならそれも必要ないから脱衣室がコンパクトでも問題ないですね。


フォトスタジオはなくして正解!

フォトグラファーである以上、自宅を新築するならスタジオを併設したいという想いはあり、実際最初の設計プランでは10帖くらいのスタジオが提案されました。でも、予算の都合と、こんな田舎までお客さんは来てくれるのか?という立地上の問題もあり…結局スタジオはなくし、書斎のみを作ってもらいました。スタジオと事務所は栃木市の中心部に別に借り、オンオフも切り替えられるし結果よかったと思います。

自宅の新築の際、店舗や事務所の併設は自営業の方なら誰しも考えることでしょうが、確かに、自宅の立地や、自分のオンオフのスイッチの入れ方、家族との関係などによって、よく検討すべき事項ですね!



失敗ポイント

シーリングファンは必要だったかも…

失敗と言うか…後悔をしているわけではないのですが、天井の美しさを最大限に味わうために、シーリングファンは付けなかったんです。薪ストーブがあるので、勾配天井に沿って上昇した暖気を下してくるために必要だとは言われたのですけどね。そのせいか、ちょっと足元は冷える気がするときがありますね。代わりに2階の手前側に扇風機を置いて回し、空気を循環させています。

美しさを取るか、機能を取るか…迷うところですよね。寒さ暑さの感覚は住んでみないと分からないところもあるので余計ですね。ただ、扇風機でシーリングファンの役目は代用できているようなので、セーフラインかと!


シューズボックスが深すぎた!

土間に作ったシューズボックス。奥行が深すぎて…特に上の方は奥まで手が届かず、使いづらいんです。傘もうまく収納できるように考えてもらえばよかったなぁと思います。住んでみるまでそこまでは気が回らなかったなぁ…。

収納は、奥行がある方がたくさんモノは入りますが、使ってみるとモノと深さが合ってないと使いづらく感じること、ありますよね。部分的に棚板の奥行きをカットして、レール位置を奥に追加すれば使いやすくなりそう!


やっぱりコンセントの位置は後悔…

土間からの立ち上がり部分にコンセントをつけるべきだったなぁと思います。夏の暑い時期にエアコンの冷気がこのあたりに降り降りてくるので、下に溜まるのを循環させるためにここにサーキュレーターを置いてます。今は階段下から延長コードを引っ張ってきてるので、格好悪いんですよね…。

コンセント位置は、やはり失敗ポイントとして挙げられる方が多いですね。新居での暮らしを完璧に想像するのはなかなか難しいですが、使う予定の電化製品とそれを置く場所は想定しておくとよさそうですね。


雨樋、最初からつければよかった

雨樋は外観を損なうと思い、付けないでくださいとお願いしていました。でも…軒から夜露が垂れてウッドデッキの一か所に垂れるので、早く腐ってしまうかも?という心配が出てきたり、雨が跳ねて窓が汚れたり…やはり不便があったので、建って1年経たないくらいに雨樋を付けてもらいました。そうしたら…今の雨樋ってデザイン性がすぐれたカッコイイものがあるんですね!これなら最初から付けても問題なかったなと思いました(笑)。

確かに…雨樋と言えば一昔前はどこもグレーのちょっと冴えないデザインのものしかないイメージでしたが、今は建物と一体化するシンプルなデザインとカラーバリエーションも豊富になってきたのですね!


コストダウンポイント

書斎の広さを1帖分カット!

全体の予算調整をするために、どこを削るか…と検討して、まず削ったのが私の書斎の広さ。外部に事務所&スタジオを借りる予定にしていたので、家には最低限の機材を置くスペースがあればいいということで広さを削りました。基礎部分も減ったため、結構な額がカットできましたね。天井を高くするのはそんなにコスト増にならないと聞き、勾配天井にしてもらったら5帖でも十分広々とした書斎になりました。

ライティングレールの取り付け位置も、当初計画した位置につけた後に工務店さんから今の位置の方がいいかも…と提案があり、お客様も同じことを思っていたので変更したそう。手間が増えても最善の提案を…すばらしいですね!


テレビは壁付にしない!

当初、テレビを土間リビングに壁付する提案だったんです。コストのことを考えて、それは止めたのですが…家が建ってからピアノをやっぱり家に置こうという話になって。置くとしたら土間しかないね…と、テレビ台を置いていた場所にピアノを、テレビは2階に移動になりました。テレビを壁付にしていたら、ピアノを置くことを諦めていたかもしれませんね。

壁付テレビはすっきりとして美しいですが、確かにそこから動かせないというデメリットもありますね。コストの面以外にも、壁付テレビにはリスクもあるんだなぁと勉強になりました。


階段の手すりのアイアンを木に

当初、オープン階段の手すりは、インテリアのアクセントになるようアイアンで作ってもらう予定だったんです。でも、予算の都合で手すりも木に変更。これはこれで気に入っていますけどね。大工さんは、この階段を作るのが一番大変だったと言ってました。壁側は側桁がなく、踏板が一枚一枚壁に刺さっているかたちなんですよ。大工さんの頑張りを思うと胸がいっぱいになりますね。

2階の格子とのつながりなどからして、アイアンだったら…を想像するのが難しいくらい、木の階段はこのおうちにぴったり馴染んでいました。階段のかたちへのこだわりも、この家の完成度を高めているのでしょうね。


雨落ちは自分で作る!

当初、雨樋をつけない予定でいたので、軒先から垂れる雨が跳ねて壁を汚さないように砂利を敷き詰める「雨落ち」を作る必要があると言われました。お願いすれば十数万、でも自分でも作れますよ…と言われ、コストカットのために自分で作りました。でも大変でした…3日かかりましたね。

コストカットのために自分でできるところは自分で…は原則ですね。でもお忙しいご主人が3日かかったとなると、大変な労力でしたね。自分でやるときはどの程度なら時間と労力が掛けられるか、慎重に検討が必要ですね。


こだわりポイント

土間リビングは最高!

薪ストーブを入れると決めていたこともあり、広い土間空間をとることにはこだわっていました。薪ストーブ周りの灰の掃除はもちろん、もらってきた野菜から出る砂などの掃除も楽にできますし、娘がよくここで縄跳びをしています。土間だけど、靴は玄関で脱ぎ、ここは裸足で行き来していますね。家族みんなおおざっぱな性格だからかなぁ(笑)。土間は汚れてもいいゆるい場所、というイメージですかね。

今までも土間リビングのあるおうちはいくつか見てきましたが、靴を履かずに行き来することを前提としている土間も面白いなと感じました。「掃除しやすい」というだけで、リビングでできることがぐんと増えるというのも発見です!


土間リビングの窓から見える景色は最高

薪ストーブの奥にある高窓から見える景色は、季節のうつろい、それぞれの時間の美しさ、雨の落ちる様子…色々な自然の表情を私たちに見せてくれます。途中、コストカットのためにこの窓を小さくすることも考えたけど、そうしないで本当によかったと思います。中から外の景色は見えるけれど、道行く人からは中は見えない、絶妙の高さにあります。朝日で山がオレンジがかってくる様子は本当に美しいですよ。

この窓から見える外の景色も含めて、家の一部なのだなぁと感じました。窓って、光と風を取り込むのが最大の目的のような気がしていたけれど、この窓は、まさに景色を切り取る額縁のよう。思い出すだけでうっとりします。


美しい天井を魅せるには?

美しい杉板の勾配天井は、私たちがこの家の中でも最も気に入っているところのひとつです。最大限にこの美しさを味わうために、ガラスのペンダントライト1つ以外は何もつけませんでした。キッチンの上部も最初は壁の予定でしたが、天井をより見せるために抜いてもらいました。できたスペースに何を置くのがふさわしいだろう?と色々考えましたが、何も置かないのが一番天井の美しさが映える、というのが今のところの答えです。

ここまでご家族やお客さんに注目してもらえ、愛してもらえる天井はかなりの幸せ者だと思います(笑)。家を育てるのは、暮らす人の「この家をいかに美しく見せようか」という建ててからの意識なのだなぁとじーんとしました。


ウッドデッキを広く!

当初はL型のデッキの予定だったのですが、我が家と同時期に同じ工務店さんで施工されていたおうちを見学して、やっぱり広いデッキがいい!と変更してもらいました。費用は結構プラスになったけれど、バーベキューをしたり、広々と洗濯物を干せたり、大活躍です。夏には庭からちょうど花火が見えるので、この広いウッドデッキに友人たちが腰かけて最高の観覧席になりましたね!

ウッドデッキが広くなることで、お庭が何倍も有効活用できるんだなぁと感じました。自然を楽しみ、仲間とのつながりを大切にするご家族には、もってこいの場所ですね!


Uchimise Photo 


レポート後記

kage 「家も、食べ物も、食器も、作った人の顔が見えるものを使っていきたい」とご主人。「自分たちが死んだあと、この家を栃木市にたくさんある蔵のように、素敵だからリフォームして使おうよ、って誰かに言ってもらえたら幸せ」と奥様。その言葉を聞いて、ご夫妻の生き方そのものを表している家なんだと感じました。栃木という土地を選び、東京から移り住む選択をされたからこその家づくり、暮らしぶりを教えていただいた取材でした。

レポーター:kage

こちらのお宅は、 見学可能.png です

案件番号 No.0148 りんちゃんち
「しずかしろのいえ(栃木市)」